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執筆者の写真フクタタカユキ

塩漬け株が出来る過程とその対処法

こんにちは。フクタです。

本日は「塩漬け株はどういう過程を経て出来上がるのか?」とその対処法について解説したいと思います。

まず塩漬け株の材料とその説明ですが、以下のようになります。


現状維持バイアス(現状を基準として、たとえ有益であったとしても現状から変化をすることに心理的な抵抗が生じ、現状維持に固執してしまう心理的傾向)

保有効果(現在所有しているものの価値についてそれを所有していないときよりも高く感じ、その物を手放すことに強い抵抗を感じる心理的傾向)

サンクコストバイアス(それまでにそれに投じた時間・お金・労力が多ければ多いほど、それを中断せずに続けてしまう心理的傾向)

アンカリング(最初に提示された数値によって後に提示される数値の判断がゆがめられる心理的傾向)

確証バイアス(「自分が正しい」ということの根拠になる情報ばかりを無意識的に集めてしまい、反証となる情報を無意識的に無視したり集めようとしなかったりする心理的傾向)

損失回避バイアス(同じ金額ならば利益を得る喜びよりも損をする苦痛の方が2.0~2.5倍程度大きいため、無意識に利益を得ようとすることよりも損をすることを避けようとする心理的傾向)


上記が塩漬け株の材料となる各種認知バイアスになります。

そして塩漬け株の出来上がりの具体的な過程は以下のようになります。

⓪上がると思って買った株が予想に反して下がり、含み損が発生する

①現状維持バイアスにより保有株を損切りすることに対して心理的な抵抗が生じる

②保有効果により含み損が発生している保有株の価値を実際よりも高く見積もってしまう

③含み損が発生しているにも関わらず、サンクコストバイアスにより「それまで投資をし続けていたから」という理由だけで保有株を損切りすることに対して心理的な抵抗が生じる

④アンカリングにより買った当初の株価が参照点となり「もしかしたらこのまま持っていれば元の株価まで戻るのではないか?」という根拠なき空想が始まる

⑤含み損が発生しているにも関わらず、確証バイアスにより「保有株が今後上がる理由」を探そうとし、それを支持する情報ばかりが目に付くようになり、逆に「保有株が今後もっと下がる理由」については目に付きづらくなる

⑥損失回避バイアスにより損切りすることに対して強い心理的抵抗が生じる


以上が塩漬け株が出来上がるまでの具体的な過程です。

「塩漬け株が出来る」というのは一見シンプルなことに見えますが、出来るまでには複数の認知バイアスが複雑に絡み合っていることがわかると思います。

では次に「塩漬け株を回避するにはどうしたらいいのか?」についてですが、これは「含み損が発生した時点で、自分には認知バイアスがかかっていることを自覚した上で、自分の過去の判断の間違いを認めて即刻損切りをして、次の銘柄に向かう」という以外に対処法はないです。

塩漬け株を損切り出来ない理由は上記に挙げた各種認知バイアスの他に以下の2つの心理が根本的に存在すると思っています。


自分の判断の間違いを認めたくない

収益を得るための他の方法がないから不安


このことの裏を返せば、損切りが出来る状態とは以下のような状態になると思います。


自分の判断の間違いを認められる

収益を得るための他の方法があるからさほど不安ではない


つまりは損切りをするためには「損切りが出来ない状態」から「損切りが出来る状態」へ切り替わっている必要があるワケで、その「損切りが出来る状態」へ切り替わるためにもまずは自分の中にある認知バイアスを自覚することから始めた方がいいんじゃないかと思っています。

なんにせよとりあえず言えることは、含み損が発生している時点で「買った後は上がる」というその当時の判断は間違っていたということの何よりの証左となっていますし、あとその塩漬けになっている銘柄をそれ以上買い増そうと思っていない時点で「その株はもう上がらないんじゃないか」ということを無意識的に思っているということになると思うので、そのような判断を間違った銘柄や買おうと思わない銘柄をズルズルと保有する意味はそもそもないんじゃないかと思います。(「もっと含み損を抱えたい」ということであれば話は別ですが)


そして「収益を得るための他の方法」についてですが、これの注意点として「塩漬け株を作ったのと同じ取引手法は使わないこと」および「塩漬け株を作ったのと同じ取引手法を使うのならば、事前にその取引手法の過去の事例を調べてその取引手法の期待値を確認してみること」の2つを挙げておきたいと思います。

僕の座右の銘として「同じことを繰り返しながら違う結果を望むこと、それを狂気と言う」という言葉があるんですが、前者の注意点はここから来ています。つまりは「塩漬け株を回避したいないしは収益を上げようと思っているのにも関わらず、塩漬け株を作ったのと同じ取引手法を使う」というのは、この座右の銘の言葉を地で行っているということになるからです。

そうならないためにも「塩漬け株を作ったのと違う取引手法」を用いたり、後者の「事前にその取引手法の過去の事例を調べてその取引手法の期待値を確認してみる」ということが必要になると思っています。


いずれにせよ、今後株に投資する人は投資をする時にここに書いてあることを少しでも思い出してもらえたら幸いですし、あともう既に塩漬け株を作ってしまっている人は、認知バイアスを自覚した上で自分の判断の間違いを認めてさっさと損切りをして次の取引に向かった方がいいんじゃないかと思います。


今日はここまでです。

お付き合い頂き、ありがとうございました。

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